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奏。-かなで-

金色のコルダ二次創作サイト

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2009.07.11 Saturday 11:30 土浦×香穂子

prophetic


土浦×香穂子

絶賛交際中


夢を正夢にしましょう。


  





夢を見た。
 



「あ。」

いつもより早く家を出たのに、土浦くんはもう家の外で私を待っていた。

「香穂。早いな。」
私に気付いて振り向くと、土浦くんは驚いたようにそう言った。
「土浦くんこそ。…いつもこんなに早くから待っててくれてたの?」
「たまたまだよ。」

土浦くんは私のかばんを自転車のかごに入れながらそう言った。
私は何も言わずに自転車の後ろに座り、土浦くんの腰にしっかり腕を回した。

「行くぞ。」

そういうと土浦くんは、ペダルに力を入れた。

学校につくまでの数分間。
私は土浦くんの背中に身体を預けて、今朝の夢の事を考えた。
あんな風にされたいのかな、私。
子供みたい、と思う。

ぼんやりと流れる景色を眺めていると、いつもと違う景色を見ていることに気がついた。

「土浦くん?」
どこに行くの、という意味を含めて、土浦くんに呼びかけてみる。
「いつもより早いから、遠回りして行こうぜ。」
そういう土浦くんの声は、どこか嬉しそうに感じた。
「うん。いいよ。」
こんなに早く行ってもしょうがないし、と私がうなずく。

自転車から見える風景は、歩いている時より綺麗に見える。
私はこいでいない分、景色を眺めることができる。
歩くよりずっと早く景色は流れてしまうから、必死に一つ一つの風景を見ようとする。
だから歩くより綺麗に見えるのかもしれない。

「綺麗だよな、この街。」
土浦くんが信号を待ちながら言った。
「うん。」

土浦くんが喋ると、私が身体を預けている背中が振動する。
私はその揺れが大好きで、土浦くんがもっとお喋りだったらいいのに、と、いつも思う。

「それに、いつもと空気が違うから、なんか新鮮。」
いつもと違う時間だからかな、と私が言う。
「気持ちいいよな、なんか。」
そう言うと、信号が切り替わったのか、止まっていた景色が走り出した。
 
「まだ思ったより時間があるな。」
学校が見えてきたところで、土浦くんが呟いた。

自転車だから5分もせずに学校につける。
でも学校に行くにはまだ少し早すぎる。

「公園寄ってかない?噴水見たい。」
まだ全然間に合うでしょ、と私が提案する。
「そうだな。」
土浦くんはUターンして、近くの噴水のある公園に向かってくれた。
 

噴水は、まだ出ていなかった。

「早すぎたか?」
土浦くんが困ったように言った。
「噴水って、常時出続けてるんじゃなかったんだ。」
私はびっくりして、感心してしまった。
私があまりに感動した様子だったのか、土浦くんは、はは、と笑って近くのベンチに座った。

私はしばらく水のない噴水を眺めていたけど、いつまでも見ていてもしょうがないので、土浦くんのほうに向き直った。

「おれさ、今日、夢見たんだ。」
目が合うと、土浦くんはこっちに座れよ、と促しながら、話し出した。

「お前と学校に行く夢。」

私は隣に座って、青い空を眺めながら話を聞いた。

「いつもと同じはずなのに、おれ、なんかやたら嬉しくてさ。遠回りして学校に行ってた。」

ふと土浦くんの顔を見ると、土浦くんは幸せそうに目を閉じていた。

「正夢になったね。」
と、私も土浦くんに習って目を閉じてみる。

「いつもより早くお前のうち行ったら、香穂も早くてびっくりした。」
「じゃあ、いつもあの時間からいるんじゃないんだね。よかった。」
待たせてたんじゃなかった、と私が安心すると、土浦くんがからかうように「よく待たされるけどな。」と言った。
「…申し訳ない。」
いつも寝坊してしまうのは私だ。
本当に悪いと思ってるんだよ?

「遠回りしようと思ったの、夢を見たから?」
「ああ。早く来たのも、夢を見たから。」
「…私も、夢を見た。」
だからいつもより早く起きたの、と言いながら、夢の内容を思い出してちょっと後悔。
「どんな?」
…話さなきゃ、だよね。
「笑わないでね。」
ちょっと恥ずかしい、と私が言う。
「笑わねぇよ。」
約束する、と土浦くんが言ってくれる。
でもこういう約束は、大抵破られるものだよね…。

「…膝の上。」

やっぱりちょっと恥ずかしいな、と思いつつ、土浦くんの膝の上を見つめてみる。

「…は?」
「土浦くんの膝の上に、座ってる夢。」
そういうと土浦くんは、自分の膝を指差して、ここに?と聞いた。
私は頷いて、話を続ける。

「土浦くんに抱えられてて、すごく嬉しくて、幸せだった。」
ただ、それだけの夢。

「子供みたいだな。」
土浦くんはくすっと笑ってそういった。
「笑うなって言ったのに。」
「悪い悪い。」
そういいながらも土浦くんは楽しそうに笑っている。
やがて土浦くんは笑い終わると、私を優しい眼差しで見つめた。

「お前の夢も、正夢にしようか」
「…へ?」

私が聞き返すと、土浦くんは目を反らして、ちょっと赤くなりながら言った。

「まあ、人もいないし、な。」

私はびっくりして、土浦くんの横顔をまじまじと眺めた。

「…ほんと?」
「お前小さいし、出来るだろ」

土浦くんが怒ったような、笑ったような顔をする。
照れてる時の顔。私は顔が熱くなるのを感じながらも、立ち上がってみた。
どうぞ?と言うようにめくばせする土浦くんに、流石に心臓がバクバクする。

「では、シツレイ…」
あまり重たくないといいなぁと思いつつ、特等席にお尻を乗っける。
体重も預けろよ、と言うように土浦くんの腕が回されて、私の後半身は完全に土浦くんに密着した。

「やっぱり小さいな、お前」
それは土浦くんが大きいんだよ、と内心突っ込みながら、特等席を噛み締める。

ありえないくらい心臓はバクバクで、正直落ち着かない。
けど。
背中いっぱいに感じる暖かさと、体に回された腕の柔らかな圧力。
土浦くんの吐息が聴こえて。

なんかすっごく、幸せだ。


「土浦くーんっ」
土浦くんの腕をぎゅーっと抱きしめた。
「なんだよ、痛いな」穏やかな声が返ってくる。

「正夢、なったか?」
「うん、なった。夢超えた。」
土浦くんははは、と笑った。
 


「…土浦くん、大好き。」
すごく自然に言葉が出た。紛れもなく本心。

「…ん。」

土浦くんは一層深く、暖かく私を抱き締めた。

「俺も、好きだぜ、お前が。」

言われなくても、わかってる。
誰よりも愛されてるんだ、私。


幸せな時間。
学校なんて行かずに、ずっとずっとこうしていたいなぁ。
 

遠くから人の声がした。
タイムリミット?と土浦くんに聞く代わりに、少し寄りかかってみる。
すると微かに力が返ってきた。
"そうだな、そろそろ"と言うように。
 
名残惜しさを感じながらも、素直に特等席から降りる。
 
「重かったでしょ?ごめんね。」
「いや、そうでもない。」
 ちょっぴりぶっきらぼうに、土浦くんはそう言った。
「ふふ。ありがと。」
いろんな意味を込めてそう言うと、土浦くんは微笑った。
 
「さて、学校に行こうぜ。とっととする事終わらせて、一緒に帰ろう。」
「…うん!」
 
私たちは再び自転車に乗った。
放課後また来ようね、と話しながら。
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