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奏。-かなで-

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2009.06.18 Thursday 00:00 柚木×香穂子

Birthday to you


柚木×香穂子

絶賛交際中



我ながらありえない。
いくらテスト真っ只中とはいえ。
昨日は苦手科目のテストで必死こいて勉強せざるを得なかったとはいえ。
一番忘れちゃいけないものを忘れてしまった。
 



なんという事だろう
梓馬さんの誕生日、昨日だった。


我ながらありえない。
いくらテスト真っ只中とはいえ。
昨日は苦手科目のテストで必死こいて勉強せざるを得なかったとはいえ。
一番忘れちゃいけないものを忘れてしまった。
 

恐る恐る梓馬さんに電話をかけてみる。

プルルルル
もう大学の授業は終わっている時間だから、出られる筈。
プルルルル
呼び出し音が鳴る度に、脂汗がじわりじわりと噴き出てくる。
プルル、カチャッ
「はい、柚木ですが」
「あっ、梓馬さん!?あ、あの…」
携帯なんだから、誰なのかわかっているだろうに、梓馬さんはよそ行きの声。
「やぁ、日野さん。電話してくるなんて、僕に何か用かな?君の役に立てるといいんだけど…。」
普段私には俺様口調の彼がよそ行きでしゃべる時は、そばに誰かがいるか、私をいじめて楽しもうとしているか、…
…怒ってる時。
「あ、あの、本当にごめんなさい。怒ってますよね」
「…なんのことかな?」
「いえ、だから昨日…」
「ああ、その事なら気にしないで。僕の誕生日なんて、君には 関 係 の な い こ と …なんだから。」
声はとっても穏やかなのに、言葉の節々にチクチクと棘を感じる。
関係のないこと、と強調する梓馬さんは、…要するに怒ってる。
「言い訳しても許してもらえないのはわかってます。 …今から会えませんか」
「…迎えにいく、今どこにいる?」
梓馬さんは少し考えるように間を置いて、そう言った。
声量を落とさなかったところから見て、そばに人はいなかったらしい。
 

しばらくして、約束の公園に見慣れた高級車が止まった。

 "言い訳しても許されないのはわかってる"
なんて言っておきながら、私の頭の中は言い訳でいっぱい。
梓馬さんを待つ数分間、ずっとどうしたら許してもらえるか、と言うことしか考えられなかった。
-我ながら情けない-
梓馬さんが車から降りるのを緊張と一緒に見守りながら、心底そう思う。
-ああ、どうしたもんかなあ…
 
梓馬さんは二人で話せるように、車を別の場所に移動させた。
「で?どう埋め合わせしてくれるわけ?」
車を見送りながら、梓馬さん本日の第一声。
 「え、ええと…」
脂汗だらだら、のどカラカラ。
彼氏相手にここまでビビるのってどうなのさ、と心のどこかで冷静な私が呆れてため息をついた気がした。
「なにかプレゼントとか…」
「散々もらったよ。」
「で、ですよねぇ…」
「第一、俺の欲しい物がお前に買えると思う?」
「…思いません。」
 華道の宗家のお坊ちゃまのお目がねに叶う物を、私の安い給料で買えるわけもなく。
 
梓馬さんは深いため息をついた。
落胆の色が見えた気がして、彼の静かな怒りへの恐怖より、罪悪感が私を襲った。
「ごめんなさい。本当は、ちゃんとお祝いするつもりだったんです。
なんか忙しくてうっかりしちゃったけど、梓馬さんの事どうでもいいとか、そんなんじゃないんです。
だから…」
 
だから、いつもの、意地悪だけど暖かな笑顔を見せてください。
 
「なら、どう思ってるの?」
梓馬さんは私に冷ややかな視線を投げかけた。
口元は微笑んでるのに、目は全然笑ってない彼の眼差しに、ゾクリとする。
 
「…大好きです。」
痛いくらいに冷たい眼差しも、その奥に潜む優しさも、弱さも。
梓馬さんに伝えたい言葉。
…梓馬さんの欲しい言葉。
 
「…ふぅん?」
「あなただけ、大好き。」 
梓馬さんは、一瞬驚いたように目を丸くしてから、満足したように笑った。
「不思議な子だね?」
独り言のようにつぶやいて、唇を重ねる。
 
拒む理由もなく。
梓馬さんの背中に腕を回すと、女の私よりきれいな長い髪が指先を出迎える。
私よりもつやつやさらさらで綺麗な髪。
上気する頭で羨みながら、深く目を閉じた。
 


「俺の一番欲しいもの、なんだと思う?」
私を抱き締めて、梓馬さんは囁いた。
 
なんだろう、梓馬さんの欲しいもの
梓馬さんの肩に顔を押し付けて、私はぼんやりと考えた。
鼻孔いっぱいに広がる柚木家特有の甘ったるい華の香り。
きっとこれは媚薬。
私を離れなくさせるの。
 
「さあ、よく考えて。俺の一番欲しいものは、何?」

梓馬さんの一番欲しいもの?
周囲からの信頼
抜群の成績
親衛隊の女の子たち
裕福なお家
なんでも揃ってる、梓馬さんの周りには。

でも、素顔をさらけ出せる場所って、
私や火原先輩の前以外で、あるのかな?
 
梓馬さんの一番欲しいもの
-安らげる場所?
 
口に出すのははばかられて、ぎゅっと抱き締めることを返事にした。
 
ちょっとずつ、見つかるといいね
肩の力を抜ける場所。
私も、ちゃんといますから、ね
 


(上出来だよ)
 
梓馬さんは私にも聞こえないくらい小さな声で一言呟くと、耳元にキスをした。

「香穂子、」

熱い吐息が、こそばゆい。

「ずっと一緒にいてくれるんだろう?」
 
私の答えをどう受け取ってくれたのかはわからないけど

「うん、一緒にいる。」

それが私たちの、一番欲しいものだから




++++++

誕生日おめでとうございます柚木様!
柚木様の誕生日を忘れて焦る香穂ちゃんが書きたくて書きました。(笑

柚木様の欲しいものは、やっぱり香穂ちゃんかなぁ
安らげる場所、香穂ちゃんの愛
……みたいな(//∀//)

ありがとうございました!
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