Birthday to you

衛藤×香穂子

ほのぼの　コミカル


なんだよもう
中学生のくせに
昨日まで１４歳だったくせに







「今日、何の日だか知ってる？」

休み返上で学校に来て、ヴァイオリン練習の帰り道。
校門で待ち伏せされたと思ったら、衛藤桐也はそう不適に笑った。

「何の日…って、ええと」

２１世紀になって数回目の、３月３０日。

「…サザンの日？」
「は？」
「ささまるの日？」
「意味わかんねぇ」

一生懸命考えたのに、桐也はくすくす笑う。

「何の日なのよ？」

私がそう問いかけると、桐也は私の手から鞄をひったくって振り向きざまに呟くように言った。

「誕生日だよ、俺の。」

「え…ええ!?」

私は桐也の後ろ姿に驚きの声をぶつける。

小走りで彼の隣りに並ぶと、桐也はさも当然、とでも言うような自然な動作で私の手を握った。

「なんだよ、祝ってくれないわけ？」

暖かな手とは裏腹に、ぶすっとした顔を作って、若干上目遣いで睨むように私の顔を覗き込む桐也。


ばか、かわいいじゃないか。

…じゃ、なくて。


「もっと早く言ってくれればいいのに。何にも用意してないよ、私。」
「いいよ別に。期待してないし」

さらっと問題発言。可愛くない。

「今日、おれとデートしてくれれば、それでいいから。」

桐也はむすっとした顔を解かずに、目を反らして呟くように言った。
要するに、照れながら。

前言撤回。ちょう可愛い。

「そんなの当たり前でしょ？」

桐也の手を握り直して、どこ行きたい？なんてお姉さんぶってみる。

「なに年上ぶってんの？ばかだな、香穂子は。」

くすくす笑う桐也。

「なによぅ、事実じゃない」

桐也は私の手を離して、その手を私の頭にポンと乗せた。
私の顔をじいっと見て、からかうように笑う。

「お前の方が、中学生に見えるんじゃない？」

「なっ…」

確かに桐也は大人びていて、中学生だと知ったときはすごくびっくりしたけど…

「私は誰がどう見ても高校生ですッ」


すぐ近くにある桐也の目を睨みつけると、桐也は怯むどころか、

ひるむどころか、


くちびるにふれる、くちびる。



「そうやってムキになるとこ、好きだ」





年上ぶってはみたものの

顔が熱くなるのはどうしようもなく

なんだよもう
中学生のくせに
昨日まで１４歳だったくせに



「あ、ああ、あたしだって…」

やばい、火が出そう

すぐ近くにある桐也の目を睨んで・あ、いや、見つめて、恥ずかしい言葉をえいッと吐く。

「桐也のこと、好きなんだから…」

誰か消火器持ってきて!!!!!
桐也が目を反らしたらすぐ逃げようすぐ逃げようすぐ逃げようすぐ逃げたい


「そんなに真っ赤になられると照れるんだけど。」

桐也は私のほっぺをぐいっとつねって言う。

「…いひゃい。」
「変な顔。」
「ひひょい。」

桐也は指を離して、つまんでいたところに欧米風のあいさつみたいな軽いキスをした。

「行こうぜ、香穂子。」

ここは日本じゃこの帰国子女め～ッなんて思う隙もなく、桐也は私の手を引いてき出した。

「あ…、待って、桐也…！」
「ん？」



振り向いた桐也の目をちゃんと見て
ちょっとひねくれてるけど、澄んだ瞳に


「誕生日おめでとう、桐也。」


逢えてよかったと、心から思うから






＋＋＋＋＋＋


フォルテの衛藤くんは１４歳と言う事実にかなりの衝撃を受けましたｗ
なんだろう、１４歳と１５歳のこの差は。１４歳の方がショタって感じがして萌えるね！！←
”１４歳”のくせに粋がってる衛藤くんが愛しいですうおお好き！！



最後までありがとうございました！