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2009.04.04 Saturday 09:56 土浦×香穂子

”彼”と白い肌


土浦→香穂子

自覚のおはなし

※ 『”彼”と夢のわたし』別視点のお話です
続き物ではないので、それぞれ単独でも読めます




白い肌が。
長いまつげが。
すっと通った鼻が。
静かに繰り返される呼吸が。
赤いくちびるが。

梁太郎の全てを奪い、支配する。






授業が終わり数時間。
殆どの部活も終了し、学校に残っている生徒は殆どいない。
すっかり人気のなくなった廊下を、梁太郎は歩いていた。
コンクールのためにピアノの練習をするのに、放課後の学校はうってつけなのだ。

とはいえ、もうすぐ下校時間。
梁太郎はもうこんな時間か、と教室まで荷物を取りに行くところだった。

エントランスに入り、階段を登ろうとしたところで、梁太郎は見慣れた人影を見た。
(日野…?)
いつもやたら元気に梁太郎に話しかけてくる少女、日野香穂子だった。
香穂子はもうすぐ下校時間だと言うのに、帰り支度をする様子もなく、ただじっとベンチに座り柱にもたれている。
(あいつ、どうかしたのか?)
どこか気分でも悪いのかと、心配になり、梁太郎は彼女の元へ向かった。

ある程度近付き、声をかけようとした時、梁太郎が香穂子がどういう状況にあるか気がついた。
(…ったく、こんなところで…。)
香穂子は、眠っていたのである。

(いくら学校とはいえ、無防備に寝てると物盗られても文句は言えねえぞ…?)
梁太郎は不用心だな、と思ったが、彼女の眠っている姿を見てすぐに思い直した。
香穂子は荷物をがっちりと抱え込んでおり、彼女を起こさずに荷物を抜き取るのは不可能そうだったからだ。

「ったく、心配させんなよな?」
だいぶ暖かくなってきたとはいえ、起こした方がいいだろうかと考えながら、梁太郎は小さな声で呟き、彼女の顔をのぞき込むようにしゃがみ込んだ。
(…可愛いな。)
なぜかいつも鬼のような形相で走り回っている香穂子でも、寝顔は可愛いものかと、梁太郎は苦笑した。

なんとなしに彼女の寝顔を眺めていると、今まで気付かなかった顔立ちのよさに気付いた。
(いつもあんなカオしてるからなぁ。)
普段の香穂子を思い出し、もったいないと独り笑う。
(白い肌…。)
そっと柔らかな頬に触れてみる。
(いつも外走り回ってるのに、なんでこんなに白いんだ?日焼け止めでも塗ってるのか?)
そういうところは女だな、と指を離したとき。


ドキン。


急に、梁太郎の鼓動が早くなる。
香穂子が"女"であることに、唐突に気付いた。


ドキン。ドキン。


白い肌が。
長いまつげが。
すっと通った鼻が。
静かに繰り返される呼吸が。
赤いくちびるが。

梁太郎の全てを奪い、支配する。


吸い寄せられるように、くちびるを彼女のそれに近付ける。

そしてー--




キンコンカンコン


鳴り響くチャイム。
6時だった。


「ふぇっ!?」
静まり返ったエントランスに、それは大音量で響き渡り、香穂子は驚いて目を覚ました。
「しまったなぁ、こんな時間まで寝てたとは…。」
香穂子は残念そうに呟きながら伸びをした。
立ち上がり荷物を持つと、それまでもたれていた柱を見て言った。
「土浦くんはそんなとこで何してるの?」

梁太郎はチャイムに驚き、隠れるように柱の陰にしゃがみ込んでいた。
「…よ、よう、日野…。」
梁太郎は立ち上がらずに顔だけ振り向いて挨拶した。
「何か落としたりした?」
香穂子は梁太郎の背中に手を置き、彼の足元を覗き込んだ。

「や、なんでもねぇよ、気にすんな。」
梁太郎は彼女の手を払うように立ち上がった。
「ふぅん…?」
少し慌てたような反応に怪訝そうにしながら、香穂子は梁太郎に笑顔をみせた。
「せっかくだから、一緒に帰らない?」
屈託のない笑顔に、梁太郎は一瞬息が出来なくなる。
ね?と首をちょこんと傾ける香穂子に戸惑いながら、梁太郎はその誘いを断った。
「わりぃ、教室まで荷物とりに行かなきゃならないんだ。
待たせるのも悪いし、先帰ってろよ。」
香穂子は残念そうに顔を歪ませると、すぐに立ち直ったようににこっと笑った。
「じゃあ先に帰るね。また明日、土浦くん!」
手早く荷物を抱えると、香穂子はスキップ混じりにエントランスを出た。
(スキップて…。良い夢でも見たのか?あいつ。)
梁太郎は彼女の後ろ姿を微笑ましく思いながら見送った。


(…にしても。)
香穂子の姿も見えなくなり、梁太郎は自分の行動を思い出す。
(…にやってんだよ、俺…!!)
顔を隠すように手で覆う。


-あいつはただの友達。違うのか?

どきんどきんと、再び鼓動が騒ぎ出す。

何考えてんだよ、俺は…ッ


梁太郎は突然芽生えた、いや、もしかしたらずっと秘めていたのかもしれない自分の想いに、戸惑うばかりだった。





++++++++

もうずーっと前に書いたものです。
三人称とか今じゃ書けない\(^o^)/
”香穂子に見とれる梁太郎”が書きたくて書いたものだった気がします。書けてませんね\(^o^)/

ありがとうございました!

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