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奏。-かなで-

金色のコルダ二次創作サイト

2024.05.15 Wednesday 16:22

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2008.09.13 Saturday 18:34 土浦×香穂子

お宅訪問


土浦×香穂子
あまあま

土浦くんのおうちに遊びに来た香穂子さん。




「うっわぁ、豪邸じゃん!」

土浦梁太郎の家の前に着くなり、日野香穂子は声を上げた。

(…ったく、いちいち反応がでかいんだよなぁ、こいつ…。)

土浦梁太郎は
「そうか?普通だぜ?」
と呆れながら自分の家のドアを開け、香穂子を中に入らせた。

「いやいや、私んちに比べると、月とスッポン、ゾウとミジンコ!」
香穂子が靴を揃えながら楽しそうに言う。

「ゾウとミジンコって…そんな言葉ないぞ?」
梁太郎の厳しいツッコミにクスクスと笑いながら
「言いたいことはわかるでしょ?」
という香穂子にまぁな、と苦笑する梁太郎。

2人が笑い合っていると、家の奥から40代半ばの女性が出てきた。

「あら梁太郎…そちらの方は?」
「あ、おふくろ。」
「えっ、あっ、土浦くんのお母さん!?」

梁太郎の母を目の前にして、変な声を上げる香穂子。
(おいおい、固まってるぞこいつ…)
真っ赤になって固まる香穂子に思わず笑いが漏れる。

「そ、俺のおふくろ。お袋、学校で仲良くしてる日野香穂子さん。」
梁太郎が手短にお互いを紹介する。

「はじめましてっ!!」
ペコッと頭を下げる香穂子に、梁太郎の母は
「初めまして、日野さん。梁太郎が女の子を連れてくるなんて、初めてだわ。」
と嬉くも寂しい、といった複雑な表情を見せた。

「え?そうなんですか?」
“初めて”と聞き嬉しそうに聞き返す香穂子。
「ええ。梁太郎もそんな年頃なのねぇ。」
「なっ、何言ってんだよ、お袋…!」
母の何気ない一言に赤くなる梁太郎。
「あはは、真っ赤だよ土浦くん。」
楽しそうに笑う香穂子を小突き、もう行くぞ、と家の奥へ行く梁太郎。
「あっ、ちょっと待ってよー。…っと、お邪魔します!」
言ってなかったとでも言うようにあいさつを付け加え、香穂子は慌てて梁太郎の後について行った。

「うわぁあ!グランドピアノが部屋にあるのー!!?」
リビングにはもうすぐピアノ教室の生徒がやってくるからと、香穂子は梁太郎の部屋に通された。

整頓された部屋に当たり前のように置かれたグランドピアノ。

まさか部屋にピアノが、しかもアップライトではなくグランドピアノがあるとは思っていなかった香穂子が驚きの声を上げた。
すごいすごい、グランドピアノを置いてもまだ広い!ときゃーきゃー騒ぐ香穂子の頭をぺしっと叩く梁太郎。
「ったく、よくそんな大騒ぎできるよなぁ、お前って。」
呆れたような驚いたような顔で梁太郎は言った。
「だってすごいじゃん!グランドピアノだよ、グランドピアノ!ここって音楽室!?」
興奮を隠しきれない香穂子に降参したよ、と両手を挙げる梁太郎。

「ま、適当に座っててくれよ。今お茶でも持ってくるから。」
「あ、ありがとー。」
そういうと香穂子はそそくさと部屋の隅に置かれたざぶとんに座った。
梁太郎はそれを見届けるとさりげなく微笑んでキッチンへと向かった。

梁太郎の戻りを待つ香穂子は、部屋をきょろきょろと見回しながら、
(やっぱすごいなぁ、部屋にグランドピアノなんて。しかもまだ全然広いんだよ、信じられない。)
と、未だに興奮が冷めずにいた。

「うちとは大違いだなぁ。」
ポツリと呟き、脱力したように寝転がる香穂子。

(…あ…)
もたれたときに起きた風は、香穂子の大好きなひとのにおいがした。
「そっか…そうだよね。」
ふふ、と嬉しそうにじゅうたんに顔をうずめる香穂子。

(ここは、土浦くんの育ったところだもんね。土浦くんが生活しているところだもんね。当たり前だよね。)

「あー、好きだなぁ、このにおい。」
誰にも聴こえないように、そっと呟く。

(…土浦くんのにおい…。)

全ての感覚を嗅覚に集めるように、香穂子はそっと目を閉じた。
(すごいなぁ、私。土浦くんの家にいるんだ。土浦くんが育ったところに。)
「なんか、不思議…。」

「悪い悪い、待たせたな。……日野?」
梁太郎が盆にお茶とお茶菓子を乗せて戻ってきた。
しかし、梁太郎が声をかければ戻ってくると思った香穂子の声はしない。

盆をテーブルに置き、じゅうたんに横になっている香穂子の顔を覗き込んでみる。
「すぅ…すぅ…。」
「ね、寝てる…。」
(普通、他人の家で寝るか…?)
信じられないというように、梁太郎は香穂子を見つめた。

幸せそうに眠るその姿に、思わず顔がゆるむ。
(ここが男の部屋だって、わかってんのか、こいつ。)
と考え、そんなことを考える自分に苦笑する。

「ったく、幸せそうに眠って…。風邪引いても知らねぇぞ?」
ため息をつきつつ、梁太郎は香穂子を起こさないようにそっと隣に座った。

防音設備の整った部屋は、外の音をほとんど通さない。
そのため香穂子の寝息は嫌でも梁太郎の耳に入った。

(本当に、幸せそうだな…。)
香穂子の寝顔に優しい視線を落とす。

そしてそっと、香穂子を起こさないように、梁太郎は寝転がってみた。

見慣れた天井。どこよりも落ち着く空気。そして隣には誰よりも愛しい人。
(こういうのを、“幸せ”って言うんだろうな…。)

規則的に聴こえてくる寝息の元に顔を向ける。
(…可愛い)
恥ずかしくてとても口にはできないけど、と梁太郎は自嘲気味に笑う。

そして梁太郎は、今この場に満ちている幸せをかみ締めるように、目を閉じた。
(日野。)
心の中で、呟く。
(日野、俺な…)

梁太郎は深香穂子を起こさないように注意しながら、その小さな手に自分の掌を重ねた。
感じるぬくもり。
(相変わらず、手、小さいな。)

香穂子の手と梁太郎の手を比べると、香穂子の手はあまりに小さい。
梁太郎の片手だけで、香穂子の手は楽に包める。
そんな小さな掌が愛しくて、出来ることならずっと握っていたいと思うのだが、恥ずかしくて今だに手も繋げていないのが現状である。
(眠っている間に繋ぐなんて、我ながら卑怯だな。)
でも、お互い起きているときにはまだ無理かな。なんて思いつつ、香穂子の寝顔を見つめる。

(起きるなよ。)
梁太郎は上体を起こし、香穂子の小さな手を、両手で優しく包み込んだ。
(日野…)
その暖かさに呼び起こされたかのように、静かに湧き出る感情に、梁太郎は目を閉じた。

(好きだ。)
口には出来ない。我ながら情けない。
(好きだ、日野。)
でも、この気持ちは本物だから。
(大好きだよ、…香穂。)
口にできない俺を、許してくれな。

そっと手を離すと、それとほぼ同時に香穂子は目を覚ました。
なんか寒くなった、と言いたげに自分の掌を見つめる香穂子。

「やっと起きたか、このお姫様は。」
そんな香穂子をからかうように梁太郎が声をかける。
「ふぇっ!?」
すると変な声をあげ、がばっと飛び起きる香穂子。
「やだ、私、寝ちゃってた!?」
恥ずかしい、と頬に手を当て顔を真っ赤にする。
「寝癖ついてるぞ。」
梁太郎は笑いながら香穂子の耳の後ろを指差す。
「うぇっ、うそっ!?」
髪を必死に撫で付ける仕種に、梁太郎は思わず笑ってしまう。

「お前って本当、見てて飽きないよな。」
「それって褒めてる?」
それともバカにしてる?と香穂子が拗ねたように言う。
「褒めてんだよ。」
と、ぽんぽんと頭を撫でてやる。

すると香穂子は幸せそうな顔をして少し梁太郎に近づいた。
「ほんっと、幸せそうな顔するよなぁ。」
香穂子がニコニコしながら梁太郎の顔を見る。
「しょうがないじゃん、本当に幸せなんだもん。」
余りに当然のようにそう言うので、梁太郎は笑ってしまった。
「ちょっとー、土浦くん!もしかしてバカにしてる?」
むー、と香穂子は拗ねた顔を作る。
「バカになんかするわけないだろ。」
そう言いながら、優しく香穂子の頭を撫でてやる。

「さて…と。そろそろピアノでも弾くか。そのために来たんだろ?」
梁太郎が話を変えるようにそう切り出した。
「おっ。待ってましたっ!」

梁太郎が香穂子を家に連れてきたのは、ピアノが聞きたいと言い出したからだった。

「何かご希望の曲はありますか、お姫様?」
梁太郎が椅子に座り、手首を回しながら香穂子に聞いた。
「んっとねぇ…」
あれもいいな、でもあれも捨てがたい、と香穂子はあれこれ考え始める。
そのあいだに梁太郎は指慣らしとして簡単な曲を弾く。
「よっし、じゃあ手始めに子犬のワルツ!」
犯人はお前だ!とでも言うような仕種で、香穂子がリクエストする。
「りょーかい。」

梁太郎が慣れた手つきで指を鍵盤の上で躍らせる。
「お前、この曲本当に好きだよな。いつも弾いてる気がするぜ。」
梁太郎が目を鍵盤から話さずにそういうと、香穂子がニコニコして言った。
「可愛い曲だよね。音がコロコロして。」
「まぁな。」

梁太郎の指が鍵盤を軽やかに叩く。
それを見て香穂子が感心したように言う。
「いつも思うけど、指の動き速いよねぇ。私絶対そんなに速く動かせないよ。」
梁太郎が得意げに笑う。
「なんならもっと速くして見せましょうか?」
「ええっ!?」
これ以上出来るの、と香穂子が驚いて声を上げる。
それをクスクスと笑いながら梁太郎は指の動きを更に速くした。
元々テンポの速い曲が、更に速くなる。
「うっひゃぁ、目が回りそう。」
「お気に召しませんか?」
そう言うと梁太郎は指の動きを一気に遅くした。
「あっはは!子犬のワルツじゃないみたい!」
「こんな風に弾かれて、きっとショパンも泣いてるよ。」
梁太郎がふざけてそういうと、香穂子は確かに、と笑った。

「次の曲は?」
曲が終わりに近づき、寮太郎が香穂子に指示をあおる。
「ん~っとねぇ、幻想即興曲…と、革命、どっちがいい?」
好きなほうを弾け、と香穂子が梁太郎に聞く。
「じゃ、こっちで。」
そういうと子犬のワルツの余韻を少し空け、梁太郎は力強く鍵盤を叩いた。

(日野はこっちのが好きそうだよな。)

割とドロドロとした曲調の革命に比べ、幻想的なこの曲。

幻想即興曲。

香穂子が音に浸るように目を閉じる。
「上手だよねぇ。」

香穂子はそう呟くと、梁太郎にばれないように注意しながら、梁太郎の姿を見つめた。
(かっこいいねぇ。)

ふふ、と小さく笑う。

「もてるでしょ、土浦くんて。」
「はぁ?なんだよ突然。」
突然脈略のないことを言い出す香穂子に呆れたように梁太郎が聞く。
「だってさ、もてない方がおかしいって。スポーツ万能で性格いいしサッカーやってる土浦くんてかっこいいし。」
梁太郎は“かっこいい”という言葉に一瞬赤くなりつつ
「全然だよ。」
と答えた。

香穂子は不思議でならないというようにむ~と唸った。
しばらく梁太郎の指の動きを眺めていたが、突然何かをひらめいたように立ち上がった。

「どうした?」
梁太郎が驚いて訊くと、香穂子が目を光らせニヤつきながらこう言った。
「きっと、いつもムスっとしてるからだよ、土浦くん。」
「…は?」
「だから女の子も近寄りがたくて、もてないんだ。恐いもんね。」
まだその話をしてたのか、と梁太郎がため息をつく。
「悪かったな。…恐くて。」
梁太郎がムスッとした、…恐い顔になったのを見て、香穂子が慌てて謝る。
「わわ、ごめんね。嫌なこと言った。」
「…ったく…。」

梁太郎の顔がやわらかくなったのをのを見て、香穂子がポツリと、小さな声で、しかし梁太郎にも聞こえる声で言った。

「そのままで、いてね。」
(だって、可愛い子が言い寄ってきたら、私勝てないじゃない。)

ふふ、と香穂子は小さく笑う。

梁太郎がどういう意味かと考ていると、
「さて、梁太郎くん、次の曲は何にするかね?」
香穂子がふざけたようにそう訊いた。

しかし“そのままでいて”その言葉の意味に気付いた梁太郎の手が止まる。
突然曲が止まったので、驚いた香穂子が梁太郎に声をかける。
「土浦くん?どうしたの?」
梁太郎が香穂子の方に向き直る。
「土浦くん…?」
戸惑うように梁太郎を見つめる香穂子。
「…香穂。」
「っ…。」

香穂子は梁太郎の口から出た自分の名前に驚いた。
(いつも“日野”なのに…。)

そして見る見る熱くなる自分の顔。瞳を梁太郎から離したくなる。
しかし梁太郎は深雪の目を真っ直ぐに見ている。優しいまなざしで。

(いつも恥ずかしいこと言うやつだけど、こういうときになるとすぐ真っ赤になるよな。)
梁太郎はそんな香穂子の事を誰よりも愛しく思っている。

「面白いやつだよな。」
「…バカにしてる?」
何度も交わしたやりとり。
香穂子がクスッと笑うと、梁太郎は彼女を息も掛かるくらいの距離に引き寄せた。

梁太郎が椅子に座ってやっと並ぶ背。
(ちょっと小さすぎるよな、香穂は。)

そっと香穂子の頭をなでると、梁太郎はそばいいる彼女にしか聞こえないような小さな声で一言呟いた。
「……。」
それを聞いた香穂子は嬉しそうに顔を赤らめる。

「ちゃんと聞こえたか。もう二度と言わねぇぞ。」
それを聞いた香穂子は上目遣いにいたずらっぽく笑う。
「聞こえなかった。もっかい言って。」
梁太郎は言うと思ったというように微笑むと、そっと香穂子の頬に口付けた。

「…好きだ。」

その言葉に、香穂子は改めて嬉しそうな顔を見せる。
「なんか照れるね。」
クスクスと笑いながらそういうと、梁太郎は
「それはこっちのセリフだ。」
と苦笑した。

「さて、じゃあお次は何を弾きましょうか、お姫さま?」
梁太郎がピアノに向き直りながら言う。
香穂子は少し悩むようなふりをして、すぐにこう言った。

「愛のあいさつ。私に。」

 

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