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奏。-かなで-

金色のコルダ二次創作サイト

2024.05.14 Tuesday 21:19

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2009.03.01 Sunday 00:00 金澤×香穂子

Birthday to you


金澤×香穂子

シリアス せつなめ ラブラブ



わがままなのはわかってます。
先生は先生だから、
私だけの先生じゃない。




 





三月といえば

雛祭り。
春休み。
スギ花粉。
誕生日。


かちかちと、携帯を鳴らして
どきどきと、時計を眺める

あと数分で、数秒で、
あの人は歳をとる。

かちかちと、文字が羅列されたボタンを押せば、それに反応してディスプレイに文字が現れる。


かちかちかち、かちかち

声に出すことは許されない、その言葉を

文字でなら、表しても良いですか?



ダイスキな、金澤先生へ






「先生、誕生日おめでとう!」


恨めしいことに、その日は平日で。

音楽準備室はどこからか誕生日情報を仕入れてきた女子生徒で賑わっていた。


金澤先生は、普段は飄々としていて掴み所がないけど、いざとなるととても頼りになる、すごくかっこいいひと。
女子生徒に人気がない訳がないんです。


「はいはい、ありがとさん。」

先生は面倒くさそうにしながらも、嬉しそうに笑って対応している。


ちょっと先生、私がきたの気付いてる?


いくら授業が終わってからダッシュで駆けつけても、普通科校舎から音楽科校舎は遠い。
準備室についた頃にはもう既に、一番乗りはおろか二番三番も奪われていて、先生の机の周りにはまるでハーレムみたいに小さな人だかり。


さっさと用事済ませて帰ればいいのに、と自分を棚に上げて独占欲だか嫉妬心だかが主張する。

そんな私の思いも虚しく女の子たちはきゃあきゃあと談笑を始めた。

その子達と友達ならまだしも、顔を知っている程度の私が会話に交わる気力も起きず、私独り居心地がすこぶる悪い。

先生は追い払う訳でもなく、会話に交わる訳でもなく、なにか書類を眺めている。

そんな先生を睨みつけて、鞄にプレゼントを忍ばせたまま、私は譜面台をひとつ掴んで部屋を出る。
気付いてくれるように、音を立てて扉を閉めた。





昨日まで2月だった屋上は、まだ寒い。
こんな寒い中わざわざ出てくる生徒も少なくて、今日も屋上は貸切状態。

屋上から更に階段を登って、校内一見晴らしのいい場所に譜面台を設置する。

私の大好きな場所。

-先生に告白した場所。


「ばかーーーーッ!!!!!!」

気付けば息を大きく吸って、海に向かって叫んでた。


わがままなのはわかってます。
先生は先生だから、
私だけの先生じゃない。



私は柵にもたれて座り込んだ。
足にコンクリートのひんやりとした感触が伝わって、正直寒い。

だけどそこから動く気にもなれずに、私はそのままの体制でポケットから携帯を取り出した。

メールボックスを呼び出して、関係別にフォルダ分けした受信ボックスから、フォルダをひとつ選んで開く。

"ひろとさん"と名付けられたこのフォルダの中には、私がひろとさんと交わしたメールが詰まってる。

先生がこんな風に連絡を取り合っているのは、多分私だけ…だと思ってる。
だから、このメールは、このメールのひろとさんは、私だけのもの。


なんだろう、切ない。
きゅーっと胸が苦しくなる。

わがままなのはわかってるよ。
わかってるけど。



寂しい。










「おーい、お前さん、パンツ見えるぞぉ?」


体育座りで携帯を眺めていた私に、突然声が降ってきた。

びっくりして顔をあげると、
…あげなくても、声だけで、わかる。
金澤先生がそこにいた。


「お前さん、何もこんな寒いとこにいなくてもいいだろ~」

そう言いながら先生は自分の着ていた白衣を私の膝にかけた。

暖かい、煙草の香り。

先生は私の隣に腰掛けて、何も言わずに煙草に火をつけた。

「先生、寒くない?」

私はコートを着ているけど、先生は外に出るには明らかに薄着。
おまけに白衣も奪ってしまったし。

「んー、まあなあ。」

先生はどうでもいいように煙を吐き出しながら言った。
…そりゃ、寒いよね。

「じゃあ、私のコート貸したげる」
「え?いやお前、それは…」

私はコートを脱ぐと、先生の膝にかけた。

「暖かいでしょ?」

先生はふっと笑って、私の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。

ぎゃー髪の毛が、なんて笑いながら、自分がさっきまで抱いていた感情を思い出す。

先生はちゃんと、会いに来てくれた。

ちくんちくん、罪悪感が痛い。

「ごめんなさい。」
「んー?」

先生は私の頭を撫でるのをやめて、乱れた髪を直すように、手で髪を梳きはじめた。

「私、嫌な態度とったから。
…ごめんなさい。
ひろとさんが先生なの、わかってるのに。」

先生は私の頭を梳いていた手で、私の体を引き寄せた。


先生の胸の中
煙草の匂い 先生の匂い
暖かい


「ごめん、な。」

心地いい振動が、私に伝わってくる。

「辛い思い、させてるよな。」

ぎゅっと抱き締められて、煙草の香りが脳みそを満たす。

(だいすき)

小さく呟くと、先生は暖かな息を吐いて、私を優しく撫でた。







「セクハラされた、って言うんだぞー?」

やがて先生は私を抱きしめる力を緩めながら、誰かに見られたら、と仮定して言った。

「ふふふ、わかってます」

そんなこと言う訳ないけど、それが先生の優しさだって知ってるから、私はそう答えた。
背筋を伸ばして、先生の横に座り直す。





でも。
でもね、先生。

先生が私のこと一番に考えてるってこと、私は知ってる。

でも、やっぱり寂しいよ。

手の中にある、音のない会話
隠れてしか、逢えなくて

他の女性が先生に寄ってきても、私は何も言うことが出来ないの

ほら、さっきみたいに。



「早く卒業したいな」

口にするつもりはなかったのに、思いがするっと言葉になってしまった。


「お前さ…」
「あっ、そうだ先生ッ」

私は思わず大声を上げて、先生の言葉を遮った。

「プレゼント、あげるねッ」

先生に背を向けて、鞄をごそごそ探る。



なんで私、笑顔作ってるんだろう



「ごめんな」

声よりも先に
すごく暖かなモノが、背中に覆い被さった。
それにはやっぱり、煙草の香り


さっきよりもきつい圧力に

我慢していた何かが決壊した




「寂しいよ」

「メールじゃやだ」

「隠すのもやだ」

「あたしだけがいい」

「好き」



溢れる涙も拭わずに、先生に全てぶつけた。

表情は見えない
頬に暖かな息がかかるだけ


あたしはいつの間にか肩で息をしていた



頬を伝う涙に、はっと我にかえる。
さーっと血の気が引いた。



どうしよう あたし

先生に迷惑かかる

重たいって思われたら


嫌われたらどうしよう




「好きだよ、お前が。」

耳元で響く、真剣な声。
先生の口から、初めて聞く単語。

「謝ることしか、…信じてくれと言うことしか出来ない俺を、許して欲しい。」


むせそうなほどの、強い圧力、かすれた声。

この痛みは、なに?


先生はそれきり何も言わなくなった。
体にかかる圧力と、熱い吐息はそのまま。


先生の息が、涙の跡を乾かした頃、私は気が付いた。
いかに今まで、自分のことしか考えていなかったかを。


そう、先生だって、きっと辛いんだ。

この痛みは、きっと

先生の痛み



感じたのは、確かな"愛"。

私を包んでくれる、おっきな身体、暖かな手、優しい声、煙草の香り

どうして気が付かなかったんだろう
どうして信じられなかったんだろう

私はこんなにも愛されているのに


「ひろとさん」

大好きな名前を呼ぶ。
ん?と、声にならない音の振動が体に伝わって、ひろとさんの反応を示した。

「ひろとさんにこんなに愛されてるの、気付いてなかった。」

ひろとさんはなにも言わずに聞いてくれている。
少しだけ、体にかかる圧力が弱くなっていた。

「ごめんね、ごめんなさい。」


また、涙溢れそう。
なんて罰当たりなんだろう、私は。


先生は私の目元を拭うように軽くキスをして、優しい声で言った。

「俺も、な。
そんなぐしゃぐしゃな顔になるほど、想ってくれてたとはな?」

先生は元の調子に戻ったように、冗談みたいに笑った。

「先生のバカ、ひどい。」

先生はそうやって、私の涙を止めた。
私は先生を睨みつけながら、私を元気づけてくれる先生の優しさが嬉しかった。

「我慢しすぎるのは、お前さんの悪い癖だな」

先生は優しい声でそう言いながら、小さい子供をあやすように、私の体をゆっくり前後に揺らす。

「言ってくれていいんだぞ?
お前が不安に思ってるなら、俺はそれを取り除く。
わがまま言ったっていい。もっと、手をかけさせてくれ」

好きって言われるより、嬉しかった。
だってそれは、先生が私を愛してるって、意味してる。


「先生、大好き。ほんとうに。」









結局私たちは、下校時間近くまでそこにいた。


「先生、遅くなってごめんね」

今度は先生に背を向けないで、鞄を手繰り寄せてごそごそ探る。
小さな包みを取り出して、先生に向き直る。

「誕生日おめでとう、紘人さん」

そこには大人の"男の人"が優しく微笑んでいた。


"先生"じゃない、紘人さんの笑顔。
大好きな、私だけの、笑顔。







+++++

遅くなりすぎですね、ごめんなさいorz
しかも萌えない、みたいな…うおおおおお才能欲しいいいいい\(^o^)/オワタ

なんだか書いてるうちによくわからなくなってしまったところも多々ありますorz
それゆえ変なところが結構合ったり…あれこれ矛盾してね?みたいな\(^o^)/

一応ちょこっとだけ補足させていただきますと、
最初の音楽準備室で先生が女子生徒を追い払わなかった理由は、
香穂子だけ特別扱いは出来ないから、です。
香穂子に気付いていなかったわけでも、彼女達と居たかった訳でもないのです。
彼女達だけ追い返して、香穂子を残すのもダメだし、”用がないなら帰れ”と言ったら、
香穂子の用なんてあってないようなものですから、香穂子もすぐに帰らなくてはいけなくなります。
と言うことで、あの時人を追い払うことは出来なかったのでした。

本編にどうしてもうまく語らせられなかったので、補足させて頂きました^^;
うおおお才能欲しいいいい\(^o^)/←


最後までありがとうございました!
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